2009/11/11

familia

辛い事もあるけれど、やっぱりこども達と一緒に過ごすと嬉しくてしょうがない事っていっぱいある。思わずニヤつく瞬間もいっぱいある。あぁ、もうあたしこの子達のfamiliaだなって感じる事が、去年よりもずっと増えてる事に、日が経つに連れて感激が深まる。


自分のオフィスで、中学生の女の子に英語を教えていた時のこと。

「先週のテスト、5点(20点満点で)だった…」と
恥ずかしそうに告白する彼女に「今すぐ答案用紙持って来いっ!!!」と
ひとっ走りさせ、なんともひどい結果に終った用紙を見ていたら…


"What city would you like to know?"
という質問に対して、

"I would like to know Japan."
と書いてあった。


"Japan"は"city"じゃないから本来ならその時点でアウトだけど
別にあたしが見るとは限らないテストの解答用紙に
そんな回答を書いてくれるって、すごい嬉しい。
テストで緊張して、"Tokyo"って出てこなかったんだよね…(笑)

彼女はずっと前からあたしの妹のような存在で、
まだ15歳だけどだいぶしっかりしていて、色々話せる仲良しな子。

きっと彼女にとって遠い存在だった「日本」も「日本人」も
この一年半できっと身近になったんだなぁと思う。
去年このテストを受けていたら、Japanとは書かなかったでしょう。

「5点しか取れないってどーゆーこと?!
 Japanは国名!首都はどこ?!日本の首都、もう忘れたの?!」
と、口を尖らせながら復習させつつも、思わずニヤけてしまうのを
何とかこらえて気付かれないようにするのに必死でした。



18歳の女の子が、夜、あたしのお部屋にやってきた。
去年は殆ど喋らなかった彼女だけど、今年に入ってから、すっごいよく喋る。

数年前まで、手当たりしだい目に付いた薬は何でも飲んでしまっていて
スタッフ達も頭を悩ましていたし、去年はひどい頭痛に悩まされて
一緒に病院に通ったりもした彼女。Hogarに住むこども達は全員と言って良いほど
何かしら精神的に問題を抱えているんだけれど、彼女も例に漏れずその一人。
もちろんあたしは、その薬の件は知らないフリして接してました。

そんな彼女が、あたしのお部屋に来て、その頃の事を自ら話してくれました。
そして、最近また、薬を飲みたい衝動に駆られるんだって事まで。

Hogarでの生活の事、学校の事、家族の事、2時間くらい色々喋って
ちょっとスッキリした顔になってくれて一安心。
最後には、次に薬が飲みたくなった時にはここに来て
薬なんかよりずっと美味しいラムをこっそり二人で飲もうねって冗談言って
いっぱい笑ってお部屋に帰っていった。

Hogarのこども達が、自分の過去を赤の他人に話して聞かせるって
きっと凄い事なんだと思う。最初は、聞いちゃいけない事のような気がして
あたしは誰にも家族の事なんて聞けなかったし。
そう思うと、あぁ、彼女と良い関係になってるなぁって、また、しみじみ。


こういう出来事に、いちいち感動しちゃってます。
一年半、寝食を共にするって、こういう意味があったんだよね。

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