2008/08/09

自分の存在意義

6月末にPoliclinicoの歯医者さんから「全員、歯科検診に連れてきて」と言われ、41人のこども達のスケジュール管理&連れて行く事に。

同じAsociacion Emmanuelが運営している病院なので、こども達の診察料は無料というとっても有難いお話。でも、ほぼ全員に虫歯があるうえに、見てくださる先生5人、看護婦さん2人。学校に行く時間、入れ替わりの時間等を考慮した上でこども達のスケジュール管理をするのはかなりの大仕事です。

これが始まってからというもの、すっかり「Policlinico担当」となってしまい、歯医者さんに限らず、風邪からアレルギーから貧血まで、なぜか全てあたしの担当に…。毎日行っているので今となっては第2の家です。スタッフや運転手さんや看護婦さんたち、まるで家族のようにお菓子やジュースをプレゼントしてくれたりするほど。うっかり他の患者さんから質問される事もあるし、お別れの挨拶は何の疑いもなく「Hasta manana!」だし、金曜日にはドクターにパンの配達までするこの頃(笑)


ただ…歯医者さんの順番待ちをさせている間にチビッ子を内科医に連れて行ったりして何だかんだするうちに病院で4時間くらい経っていたりとかして、実は結構疲れるのです。日によってはHogarとPoliclinicoを3往復する日だって珍しくない。

お陰で英語や日本語、歌の練習の時間が減ってしまうし、待ち時間にテレビに噛り付いて順番待ちをしているこども達の隣に座って「こんな誰にでも出来ることばっかりやって…あたし何してるんだろうなぁ…」って思って凹む事も、実は結構ありました。

でも最近ようやく、これも大事な役割なんだって思えるようになったのです。
なぜかと言うと…「時間通りにこども達を病院に連れて行く」って、実はこの国では「誰にでも出来る事」ではなかったのですね(笑) あたしが来る前は、スタッフが予約の時間に遅れたり、予約してるのに行かなかったりという事がかなり頻繁にあったらしい。

ドクター達には、「虫歯の治療が終わるまでこども達がちゃんと通ってくるなんてHogar史上初だ」とお褒めの言葉を頂き、さらにこども達からは「先生がマリはすごくPuntualだから助かるって言ってたよ!」と口ぐちに言ってくれるではありませんか。

いや…あたし日本人ですし、予約の時間を守るってこれ、当たり前なんですけどね。でも、ウチのこども達のことを心配してくれる優しいドクターたちがこんなちょっとした事で喜んでくれて、こども達が時間を守る事の大切さを少しでも(ほんっとに少しだと思うけど)感じ取ってくれればそれで充分じゃないかと、心底思えるようになりました。


そして今週、ちょっと怖い出来事が。
木曜日に16歳の少年が体調不良を訴えました。ところがあるスタッフは「寝かせておけば良いでしょ。病院に連れて行く必要ないから。」と。でも、腹痛と頭痛と発熱と眩暈を訴える彼がすごく心配だったから、意地張って連れて行きました。

お薬も処方してもらったし、翌日には良くなったと思っていたけど、なんと食事中に椅子ごと倒れて後頭部を強打、意識不明という事態に。急いで病院に連れて行き、今日はリマにある日系人協会の病院まで精密検査に行ってきました。午前中に行ったのに、検査は17時と言われたのでZapallalとリマを2往復…。

結果、強打した頭は何ともなかったから一安心なんだけれど、マードレが忙しくて付き添ってくれなかったり、わりと放置気味だったので彼の心境がちょっと心配でもあったのです。なのでこの2日間は殆ど彼に付きっきり。

夕食後にお部屋まで付き添って早く寝るようにって話していた時に、彼がポツリと「マリが居てくれなかったらすごく不安だったと思う。付き添ってくれてありがとう。2年なんて言わずに、ずーーーっとここに居てよ」と。

…もう、英語とか日本語とか歌の練習とか、自分のやりたい事の充実度なんてどーでも良いやって、心底思いました。もちろんそういう事も続けるけど、でも、ここのこども達が「自分の事を心配してくれる人が居るんだ」って、少しでも思ってくれたらそれで良いんだって。実際、本当に心配だしね…。


4月21日、最初にここに来た時は、こんなにここのこども達を愛おしく思うなんて、考えもしなかった。でも、こども達とふざけ合って、たまに髪の毛を切って、他愛もないお喋りをして、スキンシップが増えて、たまに内緒話を打ち明けられて、何気ない会話の中で「Mari, te quiero mucho!」って言われる事が増えて…、これ以上、何を望むのかと自分に問うようになりました。


色んな理由があるにせよ、親が共に生活することを放棄した41人のこども達。
本当の家族ではないけれど、こども達の健康を気遣うこと、そして彼らのために時間を使うこと。これ、あたしの大事な活動の一つ。病院の待ち時間がだるくても、砂漠の中を3往復するのが面倒でも、大事な仕事なんだと素直に思える今日この頃。

これがあたしの存在意義って言っても良いよね。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

PCも体調も戻ったようで本当に本当に安心したよ~。
日本人にとっては「あたりまえ」の事が海外では「特別な事」って結構あるみたいだけど「約束を守る」「時間を守る」っていうのは人間として基本で一番大切な事だと思う。
残念ながら、東南アジアや南米の人にはこれが欠けている人が結構多いみたいで・・・
以前から「国の発展にまで関わってくるんじゃないか?」と思ってるんだ。
子供達に、約束や時間を守ることの大切さを感じさせられるなんてスゴイ事じゃないか!
その調子でマリコ頑張ってね~!!

Mari さんのコメント...

本当にその通り!この国の発展や明るい将来のためには「Puntualidad」だといつもこども達に言っているよ。遅刻する子がいると、反感を買うのを承知で「だからこの国は発展しないの!!!」と言ってやることにしています。
時には5分の遅刻や一つの嘘で信頼関係を失うことだってあるんだからねと。ま、そんな話を理解してもらうのが本当に一苦労なんだけど(笑)最近はこども達との会話の時間も増えて、ちょっと語学力もあがってきた気がします。