2008/09/11

コミュニケーション

あらためて日頃からのコミュニケーションの大切さを実感した出来事が。

7月末に17歳になったばかりのPepeは、Hogarの中でちょっと問題児扱いをされている子です。大人たち(とりわけマードレ)に何か注意されるとすぐにカッとなってしまうので、「反抗的」という共通認識が出来上がってしまっていたのです。

でもね、実はものすごく心の優しい子だってこと、あたしは知ってます。もうすぐ3歳になるEliasは、ご機嫌斜めで他の人の言うことは全然聞かなくても、彼がご飯を食べさせようとするときちんと全部食べる。あたしが病気になった時はすごく心配してくれたし、あたしがマードレとちょっと衝突して凹んだ時も励ましてくれたし、人に指示されたことはあんまりやらないくせに、ちょっとしたお手伝いは誰も見てない時にささっと進んでやってしまう、不器用ながらもとっても良い子なのです。


ある時からそんな彼の良いところをたくさん知ったあたしは、みんなに彼の良いところを解ってもらいたいし、彼にもそういう部分をどうやって見せれば良いのかを解ってほしくて、7月はよくお喋りをしていました。つたないスペイン語で、何度も「Me entiendes?(解ってる?)」と繰り返しながら(笑)。あの頃はだいぶ距離感が縮まったような気がして、すごく嬉しかった。

でも8月後半から最近まで、なんだかんだタイミングが合わなくて時間なかったのね。お陰でちょっと注意したい事なんかも上手く彼に届かなくて、Aniversarioに向けての歌の練習も超ヤル気なさそうだったり、相変わらず人に対する期待値の高いあたしは何かと空振りをして、7月に感じていた手応えのようなものも無くなっていき、また一人悲しい思いをしていたわけです。


そんな感じで迎えた日曜日、数週間ぶりに少年達の髪の毛を切りました。7人の少年達の中で一番髪型にこだわりのある彼は、もちろん所要時間が一番長い。つまり、たくさんお喋りが出来たのね。

ここ数週間あんまりお喋りが出来なかったので、あたしの話を素直に聞いてくれるかなって不安もあったんだけど、「解ってるよー!本当はちゃんと会話したいと思っても、マードレに言われるとついカッとなっちゃうんだよ!」と照れながら言う彼。「もうあの人は年寄りで変われないんだから、まだ若いキミが変わりなさい!30過ぎたりしたらほぼ間違いなく男はそう簡単には変われないんだから、今のうちが勝負!!!」と、実体験を題材に無理やり納得させるあたし。かなりいい加減な説得だけど、とりあえず久し振りにも関わらず終始笑顔で会話できたことが何よりも嬉しかった。

そして翌々日、誰が言っても歌おうとしなかった練習タイムに、頑張って日本語で歌っている彼がいるではありませんか!その瞬間、どれだけ嬉しかったか解っていただけますでしょうか。まぁ解ってもらえなくても全然良いんだけど、これ、ちょっと調子に乗っても良いよね。あたしがPepeを可愛がっているように、彼もあたしのこと慕ってくれてるんだよね~。ふふふ。


そんな自惚れとは別に、やっぱりこれって「コミュニケーション」のお陰だと思うのです。マードレやスタッフたちは、注意はするけど、じっくり話したり考えさせたり、良いところを延ばそうとか「キミのことをもの凄く気にかけてるよ」っていうことを伝える事が無いだけなんだ。

ただ「やりなさい」「あれはダメ」「これはダメ」。これだけじゃ、そりゃやらないよねぇ…。怒鳴るでもなく、叱るでもなく、本当にキミのためを思って提案しているんだよっていう会話が出来るという環境が必要だなってことを痛感したわけです。


数日前の日記に書いた通り、かなりの信頼関係が築けたと思っていたJulioに軽く裏切られて傷ついたけど、それでもあたしは彼を信じているし前と同じようにこれからどれだけ変わるか期待してるし、とにかく可愛くてしょうがない。そして、変わらずにそういうスタンスで居るあたしのところに、やっぱりJulioは毎日飽きもせずにやってくるのです。

きっとPepeはこれからもあたしが悲しくなるようなこといっぱいやらかしてくれると思う。いや、間違いなく、そのうちあたしが言うことにも反抗的な態度をとる日がやってくるに違いない。「飼い犬に手を噛まれる」と言うけど、まさにそういう状況になってまた一人で悔し泣きするんだろうと思う。

それでも、あたしは彼を信じて期待し続けると決めました。他の大人たちみたいに「El es muy malcriado!」だなんてこと、口が裂けても言いたくない。絶対に、何が起きても彼を放棄しない。毎日ちょっとずつでも良いからコミュニケーションを怠らないで、「自分のことを見てる人が居る」ってことを、しつこいくらいに感じてもらいたいのです。きっと今まで、そういう人がここには居なかったんだと思うから。


親にはなれないけれど、これまで自分が出会った沢山の年上の友人たちがあたしに良い影響を与えてくれたように、あたしも少し歳の離れた友人として、同じ家に住む家族として、しつこいお姉さんとして、何かしら前向きな影響を与えられるような存在になりたいものです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

信じる者は救われる!ってね。

Mari さんのコメント...

>MB
そうだね。信じる事をやめたら何もかもそこで終わりだからね。
打たれ強くなって帰ります!