2008/06/25

マードレの涙

Hogarに来てから2ヶ月。
ディレクトーラであるマードレは、なんて厳しい人なんだと思っていました。実際色んな面(いや、全てか…笑)ですごく厳しいし、以前は大人と一緒なら子どもたちも気軽に外出できたのに、今のマードレになってからほぼそういう機会はなくなってしまったという話も聞いたし。「子どもたちの世界を広げたいと」思うあたしにとっては、どうにも納得できない事がとっても多かったわけです。


でも今日、考えを改めるきっかけになる出来事がありました。

昨日、17歳になる男の子が、寄付されたお洋服をしまっておくお部屋から、トレーナーを盗んだのです。彼は小さい時からお兄ちゃんと二人でこの施設で生活していて、小さい頃には「病気」とまではいかないけれどちょっと精神的に問題があるとされている子。今は普通に生活しているけれど、さすがに一般的な17歳と比べると、本当に子どもっぽいところがあります。そして、たまに嘘をつきます。

マードレは、彼が盗んだ服を持っているところを見て、厳しく問いただしました。彼はこの施設で一番たくさんお洋服を持っているのに、それでも盗んでしまったのです。月に一度、家族や親戚が会いに来てくれる日があって、そういう機会にプレゼントされるんだけど、ここの子どもたちの中ではダントツの衣装持ちなのです。

そんな彼に、もちろんマードレは激怒。3人でお部屋に篭ってお説教タイムが始まりました。「ほら、こんなに持ってるじゃないの」と言いながら彼のクローゼットをあけたら、トレーナーだけでなく、見たことないジャージとセーターまで出てきてしまい、大変なことに。

でもマードレ、最後に彼にハグした時、涙を流していたのです。あぁ、この人はちゃんと、ここの子どもたちを愛してるんだなぁと解って、あたしはそれに安心して泣きそうになりました。


今まで、正直言って、ちょっとこの人とは解り合えないかもって思ってた。お互いに理解できなかったら彼女に嫌われてもまぁいいかなと思ったりもしてた。でも、彼女の涙を見て、ほっとしました。ちょっと方向性は違うけれど、子どもたちに真っ当な人生を歩んで欲しいと思う気持ちは同じなんだよね。子どもたちを愛してなかったら、ここの施設のディレクトーラなんて出来るわけないのに。

ただ、あたしがマードレの「厳しさ」ばっかりしか見てなくて、「愛情」の部分を見られなかっただけのこと。ま、機会がなかっただけとも言えるのかな。ただ・・・あたしがなかなか見られなかったように、子どもたちにも「愛情」の部分を見せる機会が少ないのかもって心配になったりして。子どもたちにも、もっとダイレクトにこういう瞬間があれば良いのになと思うんだけど。

ともあれ、今日は良い瞬間に居合わせた事に感謝です。光が見えてきた感じ♪


それにしても・・・
実は、あたしも子どもの頃、よく嘘をつきました。酷かった。お姉ちゃんのお菓子を勝手に食べて、バレるに決まってるのに「知らない」って言ったり、よく出来たねって褒められたくて問題集の回答を盗み見しまくったり、テーブルを跳び箱にして遊んだら壊れてしまったのに「自然に」ってしらばっくれてみたり。

まぁ最後のテーブル事件は笑い話だけど、本当にしょーもない嘘をつく子どもだったのです。今思うと本当にくだらない目的で嘘をついていたけれど、そういう嘘をつく度に、自分を大事に思ってくれている周りの人がどれだけ心を痛めるかっていうことを、あらためて客観的に学んだような気がする。
パパ、ママ、亜衣ちゃん、あの頃はごめんなさい。叱ってくれてありがとう・・・。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

子供がそういうことをするときって、

自分にかまってほしいからなんじゃないの?

ほんとは、単にさみしいんじゃないの?(>_<)

怒られるの彼にとってはうれしいのかも!(^_^;

ってか、怒るだけじゃ解決しないんじゃ…(もじもじ)

(もっとも、怒ることは必要ですけど)


16才と約324ヶ月のペプシより

匿名 さんのコメント...

叱るのって気力も体力もいるんです。
愛情をもって叱ってくれる人がいるって、
本当にスゴク幸せなことだよね。
私も大人になって初めて気がつきました。

>叱ってくれてありがとう・・・。

施設の子供達にも、いつかこの気持ちがわかる時が来るといいなぁ。
今のうちに愛情を込めてたっぷり叱ってあげてね☆

Mari さんのコメント...

>ペプシ
どーなんだろうねぇ。少なくともあたしは、かまって欲しくて嘘ついたんじゃなかったなぁ。ただ単に、私利私欲のために、人の気持ちも考えずにお菓子食べちゃったりノート盗っちゃったりするひどい子どもでしたから・・・。
叱るという行為と、叱った後のフォローが大事なのかも知れないね。


>あいちゃん
本当だよね。未だに、子どもたちを叱る時はすごく勇気がいります。いつも笑顔で「マリー!」って言ってくる子どもたちの表情が一瞬にして変わるから、まだちょっと怖い気持ちもあったりする。
「親の心、子知らず」とは本当に良く言ったもんだよねぇ・・・。何年先でも良いから、この施設の暖かさを理解してもらえたらいいな。